経理、超大事。
経理と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
世間一般のイメージとしては、お堅いもの、1円でも合わないと怒られる、時間がかかる、税金計算のためにやるもの、利益を生まない…などなど、どちらかというとネガティブ寄りなイメージを持っている方の方が多いのではないでしょうか。
(逆に、会計士や税理士の一部には数字が好きすぎて変態の域に達している方もいらっしゃいますが笑)
特に経営者としては、「経理は大事だとは思うけど正直何も生まないし、経理作業に時間をかけるヒマがあったら1件でも多く営業したい!」という気持ちがあってもおかしくありません。
ですが、実は。経理は何も生まないどころではなく、会社の将来を左右する重要な役割を持っているのです。
今回は経理を見る目を変えていただくべく、なぜ会社にとってそんなに経理が大切なのか? を解説します。
経理が超大事な5つの理由
①会社の現状を把握できるから
例えばダイエットをすると決めた2人がいるとします。
2人の身長や体重はほぼ同じで、現時点での生活習慣・食事内容もほとんど変わりません。
違うのは、Aさんは自分の今の体重や体脂肪率、食事内容をちゃんと把握している一方、Bさんはそれらをまったく自覚しておらず、「なんとなく体が重いから痩せなきゃ~」と漠然と思っているということだけです。
この2人が同時にダイエットを始めたとして、痩せられるのはどちらだと思いますか?
おそらく全員がAさんを選ぶのではないかと思います。それはなぜかというと、今の自分をちゃんと把握しているからですよね。
今何キロあって、どんな食生活をしていて、いつまでにどれぐらい痩せたいのか。ここがはっきりしていないと、日々の忙しさの中でダイエットの優先順位がどんどん下がっていくのが目に見えています。
全く同じことが、会社経営にも言えます。
なんとなく業績が悪いから改善しなきゃ・・・でなんとかなればいいのですが、「具体的にどういうふうに業績が悪いのか?」がわからないと、たいていは先延ばし先延ばしになってしまいます。
今の売上はいくらで、利益はどうか。ちょっと危ない得意先がいるのかどうか。どの商品が利益を稼げていないのか。
これらの情報は、経理がちゃんとできていないと正確には取れないのです。
②会社の未来を現実的に計画できるから
ダイエットの話ばかりで恐縮ですが・・・もし今日から一念発起して体重を落とすぞ! と決めて体重計に乗ったら、今の体重が80kgだとわかりました。では、次に何をしますか?
即走りに行く! という行動派もいるかもですが、たいていの人がやるのはそう、「目標を立てる」ではないでしょうか。そして、今までずーっと80kgだったのに、よし来月には60kgまで落とすぞ! なんて計画を立てるのが相当無謀だということはわかりますよね。
でも、これが会社の経営を改善しよう! となると、実は似たようなことをしていませんか?
先月の売上も今月の売上も100だった。来月は1.5倍の150を目指すぞ! とか。
利益が厳しいから経費削減だ! あれもこれも全部減らそう! とか。
無理なダイエットがたいていリバウンドするように、身の丈に合わなすぎる経営目標は会社の成長を妨げます。
目標を設定するなら現実的に。「ちょっと大変だけど、頑張ればできるはず!」という絶妙なところを狙うのがミソです。
その設定に一役買うのが今までに蓄積されてきた経理データなのです。
③打った施策やキャンペーンの効果を測れるから
1つでも多く受注するために、いろいろなキャンペーンを打つことがあると思います。でも、その効果がどれぐらいあったのかをちゃんと把握できていますか?
実際、体感としては売上が伸びた実感があるかもしれません。毎日電話が鳴るとか、営業が忙しいとか、そういう雰囲気から測れる効果ももちろんあります。
しかし本当に大切なのは、「そのキャンペーンを打ったことで、打たなかった場合と比べて売上はどれだけ伸びて、利益はどれだけ増えたか」をきちんと分析することです。
例えば大幅値引きキャンペーンの結果として売上個数は伸びたときでも、もしかすると売上高や利益がキャンペーン前より減ってしまっているかもしれません。それに気づかないまま「たくさん売れるから」という理由で同じキャンペーンを繰り返していたら・・・行きつく先は破滅ですよね。
キャンペーン後、タイムリーに売上や利益を確認することで、次回以降の打ち手をより良いものにすることができるのです。
④業績の変化を早期発見できるから
会社の経営と体の健康管理は似ています。
日々の生活では病気にならないように予防に気を付けたり、調子が悪くなったら病院に行ったりしますよね。仕事が忙しいからといって痛みや不調を我慢していたら、いつの間にか手の施しようがなくなっていた・・・なんていう話もあったりします。
早期発見・早期治療がとっても大事なのは、みなさまご存じのことと思います。
会社の経営も全く同じで、「ちょっと業績に陰りがでてきたな」という予兆を敏感に感じ取り、先手先手で動くことで、大きな経営危機になる前に対応することができます。
体と同じで、自覚症状が出たときにはもう遅いことも多いです。健康診断で自覚のない病気も発見できるように、経理データの中には会社の業績変化の予兆がたくさん隠れているのです。
⑤会話・議論のきっかけになるから
会社にはいろいろな会議体があります。中には毎日分刻みで会議に出席している方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、本当に有用な会議ってそんなにたくさんありますか?
例えば資料に書いてあることを読み上げるだけだったり。持ち回りで営業報告をして、特に質疑もなく終わったり。もっと悪いのは、社長や部長がずっと「なぜ目標達成しなかったのか!」と檄を飛ばしていて、社員は首をすくめながら時間が過ぎるのを待っている・・・とか。
本来、会議をやるのは「状況を正確に把握・共有し、この先どうするべきかという建設的な話し合いをする」ことが目的です。会議時間中も給料は発生するわけですから、出席するからにはメンバー全員が積極的に発言して、有意義な場にする必要があります。
とはいえ「わかっちゃいるけど、みんな全然意見を言わないし・・・」と嘆いている経営者も多いかもしれません。
実はそんな時、経理データが強い味方になってくれます。
【経理データがないとき】
「先月はなんで目標達成できなかったんだ!」
「えっとちょっとわかりませんが、お客様への訪問量が足りなかったのかもしれません・・・来月はもっと訪問します!」
【経理データがあるとき】
「先月、A社とC社は目標に届いたがB社が未達だったようだな。これでB社は3か月連続未達だ」
「そういえばB社は最近面会アポを取りづらくなっていて・・・先月は確か1回しか行けていません」
「B社は我々との取引を減らしたいのかもしれないな。どうにか理由を探ってきて、次の会議で報告して欲しい」
どうでしょう。データがある時とない時で、話の深みが全く違うことがおわかりでしょうか。
経理データがある場合の人たちは、来月の会議では多分B社の状況を共有してどんな手を打っていくかを議論することができるでしょう。ない場合の人たちはは・・・来月も再来月も、また同じ会話を繰り返すかもしれませんね。
最後に
このように、経理データをうまく活用すれば経営判断の心強い味方になってくれます。
ただし、大前提が1つ。
それは「毎月、経理データをタイムリーに収集できていること」です。
1月の結果が6月にわかったところで、ちょっと遅すぎますね。2月に動けば間に合ったことも、今となってはもしかすると手遅れかもしれません。
経理業務を外注したり、後回しにしたりしている会社も多いかもしれませんが、ぜひ先月の実績を翌月10日頃には確認できる体制づくりをしてみてください。少しずつですが確実に、業績に良い変化が出てきますよ。
とはいえ経理体制を整えるというのは結構な大仕事です。自社のみで対応するのは・・・と思われた場合は、外部の力を借りることもご検討ください。弊社でも各社にあわせた体制づくりのご支援を行っていますので、お問い合わせページよりご相談ください!